自作チェーン外れ防止装置

フロントギアを1枚にすると、避けられないのがチェーン外れのトラブル。シングルスピードであれば常にチェーンにテンションが掛かっているし、普通の3x9とか2x10とかであればフロントディレイラーがチェーンガードの役割をするので滅多に起きないけれど、フロントシングルxリア多段のアセンブルでは特に変速時にチェーン外れが起こりやすい。

それを防ぐために

といった手段を講じるわけだけど、前者はたかがプレート2枚とクランプとゴムブッシュ数個に5000円はどう考えても暴利だろう、持ってるけど、と思ってしまうし、後者は貧乏臭い以前に変速機として作られた機構を単に位置決めのためにしか使ってなくてインダストリアルデザインの観点からは美しくない。やってるけど。


そもそもチェーン外れはなぜ起こるのかといえば、横方向の動きはもちろんだけど、縦方向にもチェーンが動くからである。チェーンがスプロケから浮くことで、初めて横にズレる「脱線」が起こる。そしてチェーンは当然ながら繋がっているため、縦の動きは波のように伝播する。昔学校で大縄跳びの縄をムチのようにしならせてみたアレ、アレと同じ。


であれば、ご大層にローラーで押さえつけたり三方向を囲ったりしなくても、どこか一点で波の伝播を止めればいいのではないか?という理屈で作ってみたのがこのデバイス

シマノのFD取り付けバンド(SM-AD15)に、適当な長さのM5のボルトを取り付けただけのもの。手持ちに適当な長さのボルトが無かったので、ここでは不要なクイックリリース軸を金ノコで切ったのを使っている。これを、チェーンの上端から1〜2mmの位置に来るようにセッティングする。スプロケ側から伝わってくるチェーンの「波」はこのボルトを超えることはできないため、理論上はチェーン外れは起こり得ない。

もちろん下側からの波には無力なんだけど、チェーン下側にはリアディレイラーのケージによって常にテンションが掛かっているので、ガレ場を走るのでもなければ、特にターマックではチェーンの「波」はほぼ上側のみに発生する、というのは走りながらチェーンを観察していると良く分かる(危ない)。


さて実際にGIANT ESCAPE MINIに取り付けて試してみたところ、結果はなかなか良好。高回転で回しながら変速を2、3段一気にトバしたりするとチェーンがギターの弦のようにビビり「波」がチェーンリングに向かって走るものの、すべてデバイスで止まりチェーン外れには至らないのが観察できた(とても危ない)。
掛かったコストはSM-AD15がAmazonで1100円程度で、以上。シートチューブにクランプできて何らかの棒または板を固定できるものであれば別段何でもいいので、場合によってはもっと安くあげることもできるかも。